三大スピーカー各型式製作記(スピーカーの世界)

なぜ、自作スピーカーなのか?

オーディオの音質に最も影響を及ぼすものは、スピーカーといって間違いないだろう。

オーディオのファンにとって、スピーカーの選択というものが一番こだわる部分だと思う。

オーディオの世界は闇であり、数千万のスピーカーや何百万のケーブルもある。

高いお金を出せば、いい音が得られるのかもしれない。

でもオレは自分で音を作りたい。

スピーカーの構造を理解し、自らスピーカーを製作し、その音を聴いてみたいと思うのである。

自分でスピーカーをデザインする。自分の好きなパーツを選ぶ。それらを構成する。

そして音が出る。

なんと素晴らしいことなのだろうか。これぞ真の自由というものではないのだろうか。

宗教的な話ではないが、人間というものは、この世界に新たなものを創造することによって、己の魂を浄化させる作用があるような気がしてならない。

私は、これまでの創作によって、心が洗われる感覚を何度も経験してきた。そんな宗教的な話は、別の機会にしようと思う。(そんな話、聞きたくねー)

以上が、自作スピーカーにこだわる理由である。

というのは建前で、本当のことを言うと、我々給料人には、お金に限りがある。

そんな限られた資金の中でも、「出来る限りいいものが欲しい。」という強い思いがあるからに他ならない。

自作を通じて得た経験というものは、私の人生において、計り知れない価値と意味を与えている。

スピーカー製作の基本

製作方法は、スピーカーの種類によって異なるが、基本的には極めてシンプルである。

スピーカーユニットを箱(エンクロージャーという。)に取り付けて、ケーブルを繋げれば一応は、スピーカーとして機能する。

ケーブルは下の写真の、プラスとマイナス端子にそれぞれ接続すればいい。

◉スピーカーユニットは、FOSTEXが有名だ。初めての自作は、有名な8ichフルレンジのFE83Enが超定番中の定番でオススメ

◉ケーブルは、ピンキリで安いものから高いものまで幅が広い。初めて自作する場合は、ホームセンターに切売り70円/mのものでも全く問題ない。

◉エンクロージャーは、スピーカーユニットに適合した容積がある箱であれば問題ない。

容積とは、簡単にいうと箱の空間容積のことである。

ヤフオクでも自作されたエンクロージャーが数多く出品されているので参考になるので見てみるのもいい。

なお、FOSTEXのスピーカーユニットを購入すると取扱説明書の中にエンクロージャーの設計図や必要容積が記述されている。

 

他社のスピーカーユニットでも、エンクロージャーの推奨される容積が記載されているものが多い。

スピーカーは、基本的にはシンプルな仕組みではあるが、これに、音質の傾向やら特徴等を考慮すると際限なく複雑な設計になる。

現代技術においても、完全に狙った音質を計算して製作することは不可能だと言われている。

自作スピーカーの醍醐味は、自分が選んだスピーカーユニットと、設計した(又は設計された)エンクロージャーの組み合わせ等により非科学的反応を期待し、現代技術にも到達できない「自分の音」を追求できることだと思う。(これを一般的には、自己満足というのだろう。)

私が自ら製作した自作スピーカーたち

スピーカーの種類は、大きく分けて、バスレフ型ホーン型密閉型がある。

それぞれの特性については、他のサイトでも紹介しているところがあるので割愛する。

私は、これまでに、この3種類の型のスピーカーを作成した。

いずれも満足のいく出来であったので紹介したいと思う。

バスレフ型スピーカー(初号機)

これまで私は、ONKYOのD−152Eというスピーカーを使用していた。

オーディオ音痴だった私が10年以上前に購入したものだ。

これはこれで、かなり音質的には満足していた。今でもいい音だと思う。しかし、デザインがどうも気に入らなかった。

もっと小さくて高音質でオシャレな卓上スピーカーが欲しいとずっと考えていた。

探してみると結構ないものだ。パイオニアとかそそられるデザインであったが、なんか違う。

そこで、自作という選択肢も考慮に入れ検討していたところ、FOSTEXのスピーカーユニットが目に止まった。

ちょうど、限定の小型スピーカーユニットがコイズミ無線(スピーカー&パーツ専門店)で販売されていた。FE-8sol(FE83Enの限定版)である。先のことは考えずとりあえず、ポチっと押してしまった。(即購入)

スピーカーユニットが届き、取扱説明書を見ながら、スピーカーの作成要領について検討する。

エンクロージャーに使用する木材はかなりこだわった。

通常、エンクロージャーの木材は、シナ等の合板を使用することが多い。理由は、木目が横と縦で重ねているため、経年による反りが少ないからだ。

安物のスピーカーは、MDFという木粉で固めた板で作成されることも多い。綺麗な木目が見えるのは、表面に木目を貼ったものが大半だと思われる。

だが、私は、無謀にも(あまり音質には影響しないだろうが)全て無垢材で作成しようと考えた。それも高級木材であるマホガニーブラックウォールナットの無垢材である。

一番重視したのが、デザイン・見た目だからである。

本物の綺麗な木目のスピーカーなんてまず量販店には売っていないだろう。(まず、こんな無駄なこだわりのためにお金を払う人はかなり少ないだろう。)

設計は、初めてということもあり、 FOSTEXの取扱説明書に紹介されているバスレスの設計図を元に作成した。

表面がマホガニー無垢材、サイドはブラックウォールナット無垢材を使用した。

木材だけで2万円はくだらない。一般的な合板の木材であれば、3千円くらいだろうか。

木材の調達は、ネットで木材の加工販売をしている「木材通販のマルトクショップ」で調達した。他にも木材加工販売している業者は沢山あるので調べてみるといい。

自作スピーカーの難関といえば、やはりスピーカーユニット取り付け穴の加工だと思う。

作成当初は、この穴をどうしようかと悩んだものだが、木材加工業者は、設計図どおりに加工してくれるので非常に助かった。

しかし、あとで気づいたことだが、わざわざネットの木材加工業者に頼まなくても、近くのホームセンターで極めて安価で加工をしてくれることを知った。そちらに頼んだ方がいいかもしれない。ただし、高級木材は、ホームセンターには売っていないので、やっぱりネットの木材販売に頼らざるを得ない。

注文した木材が届いたら、今度は板を貼り付けていく。この時使用するのが、木工用接着剤の「タイトボンド」である。木工用ボンドといえばおなじみの黄色のボディーと赤のキャップの「木工用ボンド」を思い出すだろうが、このタイトボンドを使用すると他は使えなくなる。

ボンドをつけて接着させる時、圧迫させるとより強力に接着されるので、写真のように角棒と輪ゴムを利用して圧迫させた。

しかし、こうして今、思い返してみると、横にして重いものを乗せるだけで良かったような気がする。まあ、初めての経験だったから思考レベルがこの程度だったのだろう。

次は、エンクロージャーの中に吸音材を入れる。吸音材の説明については色々なところで公開されているので割愛する。簡単に言うと、入れると音の角が取れて聴きやすくなるという。

私の場合は、超定番のニードルフェルトを入れた。吸音材は、基本的に表面以外の全ての面に貼る。貼るときは、ボンドでもいいが、タッカー(ホチキスみたな板に打込む工具)があると便利である。

 

次に配線をするのだが、あまり難しく考えなくていい。

簡単にいうと、エンクロージャーの背面に穴を開けて、そこからケーブルを内部に引っ張り出して、スピーカーユニットにプラスとマイナスの端子があるので、それぞれにケーブルを配線して、エスピーカーユニットを表面と取り付ければ完成である。

とはいっても、スピーカーケーブルを交換したり、スピーカーを移動したりする時、ケーブルも一緒だと扱いづらいので、一般的にはスピーカーターミナルというものを取り付けて、スピーカーからケーブルを取り外せるようにしている。ターミナルは内部でスピーカーユニットに接続させる。

完成したものが下の写真のスピーカーである。ダクト(下の穴)はホームセンターの塩ビ菅を取り付けた。ブラックに塗装すればもっとオシャレになったのだろうが、この中途半端な自作感で満足している。

見た目にこだわって作成したといったが、写真で見るとなんとなく自作感丸出しで、決してオシャレとは言い難いが、私は本当にこのスピーカーを気に入っている。無垢の木材にオレンジオイルとか蜜蠟だとか塗ったりしてすごく愛着を感じている。

今でもテレビのサブスピーカーとしてバリバリ活躍してくれている。

バックロードホーンスピーカー(二号機)

この頃、6BM8という真空管を使った真空管アンプを作成し、アナログのJAZZをよく聴いていた。その時使用していたスピーカーは、先に紹介したバスレフ型スピーカー(初号機)でだった。

とある日、横浜の赤レンガ街に行った時、ふと通りぎわに、なんともいえない素晴らしい音を奏でるスピーカーがあった。

そのスピーカーは、かなり大きなスピーカーだった。その時は、なんのスピーカーなのか全く分からなかった。今思うとおそらく ALTECかJBLのビンテージだったんだと思う。

8ichの小型スピーカーもいいのだが、やはり大きいスピーカーで真空管アンプを鳴らしてみたいと感じた。

とは言っても、賃貸生活で給料人には、そんな大きなスピーカーを所有することは非現実的である。

色々調べて見ると、バックロードホーンと言われるスピーカーがあることを知った。

このスピーカーは、エンクロージャー内にホーンを組み込み、スピーカーユニットの背面から出る低音をホーンにより増幅させる仕組みであり、真空管アンプが全盛期であった時代に幅広く使用されていたスピーカーである。

比較的小型で低音が豊かで真空管アンプとの相性がいいということで、バックロードホーンを作成することに決めた。

次に、スピーカーユニット選びだが、コイズミ無線のサイトをみていたら、FOSTEXのFE88-solが限定販売されていたので、ポチってしまった。

ということで、スピーカーユニットが決定したので、次にエンクロージャーの設計である。

バックロードホーンの設計で有名なのが長岡鉄男氏である。

長岡鉄男氏は、その生涯をスピーカーに捧げたと言っていいほどのスピーカー設計マニアである。氏の設計で有名なのが、FOSTEX FE83Enを使用したスワンである。白鳥に似たあの独特なデザインは、一度みておいて損はないだろう。

氏のスピリットをオレのスピーカーに生かしたいと感じたので、氏の設計したD10(通称バッキー)をベースに設計することにした。

D10(バッキー)は、10cmスピーカー用なので、FE88solの8.5cm用に縮尺して設計し直した。設計図は、いろいろなサイトで紹介されているので割愛する。

資材の調達は、先に紹介したコイズミ無線でスピーカーパーツを揃えた。

エンクロージャーは、ホームセンターでパイン集成材を購入し加工してもらった。1カット50円で比較的、精度が高い。

加工してもらった板をタイトボンドで接着していく。

キキちゃんも手伝ってくれたので本当に助かった。

内部のホーンを貼り付けて、最後に側面の板を貼り合わせる。

スピーカーケーブルは、めんどくさかったので、ターミナルなしで、ユニットに直つなぎにした。絶対こっちの方が接点が少ない分、音質がいいはずだ。

ケーブルと穴の隙間はグルーガンで埋める。

100円ショップの工具も活用する。

完成したものが下の写真のスピーカーである。6BM8真空管アンプとアナログとの相性は申し分ない。

スピーカーユニットの大きさは、バスレフ型スピーカー(初号機)と大差はないが、バックロードホーンは、豊かな低音と響が際立っている。一度は、バックロードホーンの音質を聴く価値があるだろう。

パイン集成材という安価な木材を使用したが、この木材は、単板を継合わせて作られているので無垢に近い材質である。蜜蠟を塗って時間が経つと飴色に変色する。こういった経年変化が楽しめるのもいいものだ。

密閉型スピーカー(三号機)

執筆中・・・。

 

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