はじめに

睡眠は人間が生きていく上で最も欠かせない活動です。しかし、我々現代人は仕事や勉強に追われ、寝付きが悪いという人も少なくありません。

しかし、そんな方々に知ってもらいたいのが、1981年に出版された『Relax and Win(リラックスして勝利する): Championship Performance』にて紹介されている2分で眠りにつく方法です。米軍のパイロットが睡眠不足によりミスを犯さないよう、あらゆる状況おいても眠るために開発された睡眠導入法で、現在でも米軍で採用されているそうです。今回は、そんな眠れない時でも眠る方法をご紹介します。

眠りにつくために必要なこと

睡眠の専門家ニール・スタンレー博士によると、眠りにつくためには、「リラックスできる寝室」、「リラックスした体」「リラックスした気持ち」の3つが必要だと語っております。

中でも「リラックスした気持ち」が重要で、読書、入浴、ティー、マインドフルネス、アロマテラピー、JAZZを聴くなど、自分に合った方法を見つけるよう提案しております。

仕事に家事にと忙しいときほど、眠りは大切にしたいものです。頭の回転を良くし生産性を向上させ、免疫力を高めて健康を維持するためにも必要なことだからです。

しかし、ストレスと早く寝なければというプレッシャーのせいで、多忙なときほどかえって寝付けなくなるジレンマに陥りがちです。そんなときは、どんな状況でも眠れるようにと考案された、米軍式睡眠法を試してみることをおすすめします。

眠れない時でも眠れる方法

簡単に言うと以下の4ステップです。

1 まずはまぶたを閉じ、ゆっくりと深呼吸する。そして、顔じゅうの筋肉から力を抜く。目の周りや、舌、アゴなどにも力みが残らないようにしましょう。

2 次は腕です。ゆっくりと肩の力を抜き、続いて上腕、下腕の順でリラックスさせます。意識を集中させながら片腕ずつ行うと効果的です。

3 次は胸、腹、太もも、ふくらはぎと、身体の中心部を上から下へと緩めてゆきます。これで全身がリラックスできたはずです。

4 最後に脳を休めるため、10秒かけて頭の中をできるだけ空っぽにし、以下の3つのイメージの中から1つ想像して下さい。選び方にとくに決まりはなく、好きなものを選択して下さい。

 ①視界には何もなく、ただ青空だけが広がっている湖に浮かぶカヌーに寝そべり、水に揺られているシーンを想像

 ②真っ暗な部屋で、ベルベットでできた真っ黒のハンモックに揺られているシーンを想像

 ③特に何もイメージせず、ただひたすら「何も考えない、何も考えない、何も考えない……」と10秒ほど呟き続ける。

この睡眠導入法は、6週間の練習で96%ものパイロットに効果が見られたそうです。コーヒーを飲んだ後や、マシンガンの銃声が聞こえる状況でも有効だったというから驚きですね。ちなみにパイロットたちが試した際はイスに座った状態だったとのことです。ベッドに横たわった状態なら、さらに眠りにつきやすいのは言うまでもないでしょう。

ジャーナリストの評価

96%の人々が2分で眠れる睡法という触れ込みは、にわかには信じ難いものだ。実際に試した人々の反応どうだろうか?

ジャーナリストのミカエル・グロタウス氏は、米ビジネス誌のファスト・カンパニーに寄せた記事(2018年10月26日)のなかで、試した結果かなりの効果があったと振り返っている。

実際のところ最初の1週間ほどは何も変化がなく、内心がっかりしていたという。ところが9晩目から10晩目にかけて効果が現れはじめ、睡眠法を実践することで急激に眠気を感じたり、朝まで熟睡したりできるようになったという。ハンモックに揺られるところで全身の開放感を感じ、気づいたら朝というパターンが多いようだ。寝室の明かりを消した後、「その次に覚えていることは、体が休まった感覚を感じながら8時間後に目覚めたということだ」と体験を綴っている。

エッセイストのエミリー・マロニー氏がワシントン・ポスト紙上で語る経験談にも、同じような傾向が伺える。カヌーを想像するところで水から連想される心配事に思考が飛んでしまい、「最初の何日かはひどいものだった」という。そこで「考えない」を連呼するパターンに切り替えたところこれが上手くいき、5夜目までには効果が感じられるようになった。「(入眠法が)本当にリラックスさせてくれ、就寝前に感じるストレスを軽減してくれるようになった」という。氏の場合は2分きっかりで眠りに落ちることはできなかったが、それでも適切な時間に眠りにつく助けになったという。

最後に

今回ご紹介した睡眠法は2020年に米国誌で取り上げられ注目を集めたことがきっかけとななり、日本においてもSNS等で話題になっています。今から70年以上前の第二次大戦中に開発された歴史ある技術です。このところ寝付きが良くないという方はぜひ取り入れてみて、頭の回転を良くし生産性を向上させ、免疫力を高めて健康を維持させてみてはいかがでしょうか。

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